近年、鼻・副鼻腔の手術は、内視鏡などの医療機器や手術の技術の進歩から、侵襲が少なく、術後の出血や痛み・その他の合併症などに関してのリスクも大幅に少なくなっています。
低侵襲・短時間で安全性の高い手術がおこなえるようになったことから、多くの患者さんで日帰り手術が可能となっており、欧米ではこうした日帰り手術が主流となっています。
当院では東京慈恵会医科大学附属病院とその関連病院で豊富な経験を積んだ術者が、局所麻酔下での日帰り手術を、安全かつ安心に、そしてより身近にご提供できるよう努めております。


鼻・副鼻腔の手術とは?

鼻・副鼻腔手術の手術とは?

鼻・副鼻腔手術は、主に以下のような疾患に対して行われます

昔のイメージとは違います

かつての鼻の手術といえば、

  • 全身麻酔で長期の入院
  • 口の中から骨を削る
  • 術後のガーゼ抜去が非常に痛い

といった、つらい・怖いという印象が強くありました

手術は進化しています

現在では、ほとんどの手術が鼻の穴から内視鏡を使って行われとなっており、患者さんの負担が大幅に軽減されています

手術では、鼻の穴から内視鏡と手術器具を挿入し、操作を行います
手術操作は鼻の中だけで完結することが多く、顔の外側に傷跡が残ることはほとんどありません

また、医療器械と技術の進歩により、

  • 日帰り手術
  • 局所麻酔下での手術

といった手術がより安全に行えるようになってきました
患者さんの状態に応じて、より負担が少ない方法を選択できるようになってきたのです


どんな病気に、どんな手術をするの?

疾患によって手術の内容は異なります

<鼻中隔弯曲症の場合>
手術の種類:内視鏡下鼻中隔手術Ⅰ/Ⅲ型(鼻中隔矯正術・前弯矯正術)

鼻中隔弯曲症は、鼻中隔と呼ばれる鼻腔(鼻の中の空気の通り道)を左右に分けるしきりが曲がっている病態です
これにより、鼻づまりや鼻出血を起こすことがあります

この疾患の場合、手術で鼻中隔の曲がっている骨や軟骨の部分をとりのぞき、鼻中隔をまっすぐにします
鼻の内側の手術であり、手術後の外見に変化はありません

<慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の場合>
手術の種類:内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ型

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)は、鼻の周りにある副鼻腔とよばれる空洞に炎症が長く続き、膿などがたまる病気です
これにより、鼻づまり・鼻水・頭が重い・痰がからむ・においが分からない、などの症状を起こすことがあります

この病気では、炎症によって腫れた粘膜やたまった膿を除去し、副鼻腔の出口を広げて空気や分泌物が通りやすくすることが治療の目的となります
これにより、症状の改善と再発の予防を目指します

また、慢性副鼻腔炎では鼻の中に「ポリープ(鼻茸)」ができることもあります
多くの場合は良性ですが、難治性の副鼻腔炎が原因となっていたり、まれに腫瘍性の病変が隠れていることもあるため、慎重な評価が必要です

<アレルギー性鼻炎の場合>
手術の種類:後鼻神経切断術(経鼻腔的翼突管神経切除術)
アレルギー性鼻炎の場合、体質としてのアレルギーそのものを根本的に治すことはできませんが、鼻水・くしゃみ・鼻づまりなどのアレルギーによる鼻の症状を軽減することは可能です
鼻の中には後鼻神経(翼突管神経)という鼻みずやくしゃみに関与する神経が存在します
この神経を鼻腔内で切断することで鼻症状の改善が期待できます

<肥厚性鼻炎の場合>
手術の種類:内視鏡下鼻腔手術Ⅰ型(下鼻甲介手術)

肥厚性鼻炎とは、鼻の中の主に下鼻甲介という部分が分厚くふくらんでしまい、鼻づまりが続く病気です

アレルギーや慢性の炎症が原因で起こることが多いですが、下鼻甲介の骨がもともと分厚いなど、薬が効きにくいこともあります
この疾患の場合、下鼻甲介の腫れている部分を削り、鼻の通りをよくします


どのような症状の場合に
鼻の手術をするの?

日ごろから、以下のような症状でお悩みはありませんか?

  • 鼻づまりがひどい
  • 鼻血が頻回に起こる
  • 鼻水が多い
  • 膿のような鼻水が出る
  • 鼻水がのどにまわる
  • 頭痛・頭が重い感じがする
  • 痰がからむ
  • においがわからない

これらの症状がある場合、鼻中隔弯曲症や慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、肥厚性鼻炎などが疑われます。一度耳鼻科を受診し、画像検査や内視鏡検査、血液検査、嗅覚検査などのくわしい検査をうけることをおすすめします
適切な診断・治療をうけることで、症状がよくなる場合があります
これらの疾患の方で、薬の治療で改善がない場合には、手術をすることで症状が良くなる可能性があります
当院においても、まずは薬での治療から開始し、それでも症状が改善しない場合や特定の状態にある場合に手術をおすすめするようにしています


当院で対応している手術

当院では以下の手術を、日帰り・局所麻酔下にて行っています


日帰り・局所麻酔手術の
メリット

身体への負担が少ない

全身麻酔の準備や回復にかかる時間が不要なため、手術にかかる時間が短くなります
また全身麻酔で使用する薬剤も省略できるため、全体としてお身体への負担が軽減できます

経済的な負担も軽減

入院費がかからないので、医療費の負担を抑えることができます

スケジュール調整がつきやすい

入院の必要がないため、お仕事やご家庭への影響が少なくて済みます
手術当日は安静にしていただく必要はありますが、多くの方が術後3~4日で社会復帰されています

リラックスして術後過ごすことができる

術後はご自宅で安静に過ごしていただきます
入院の準備や知らない人に気を遣うような必要もなく、リラックスしてお過ごしいただけます


日帰り・局所麻酔手術の
デメリット

手術中は意識がある

局所麻酔は全身麻酔と違い完全に意識がなくなるわけではありません
そのため痛みはしっかり抑えますが、手術中の音や振動を感じることがあります

適応とならない場合がある

手術の範囲や患者さんの全身状態によっては、全身麻酔や入院による手術が適していることもあります
当院では、安全に手術を行うために、日帰り・局所麻酔が可能かどうかの明確な基準を設けております
その基準にあてはまらない場合には、患者さんにとって最適な治療が受けられるよう、信頼できる医療機関へのご紹介も行っております

麻酔が効きにくい場合がある

局所麻酔は基本的に安全で効果的ですが、炎症が強いときや、体質などで麻酔が効きにくいこともあります
そのような場合には、麻酔を追加したり、状況に応じて適切に対応します

術後の管理をご自身で行う必要がある

手術後はご自宅で安静に過ごしていただくことが大切です
ご自宅での安静が難しい場合は、入院をおすすめすることもあります
また、ご自宅ではお薬の内服や綿球の交換など、ご自身で行っていただくケアが必要になります
ただし、こうしたケアは多くの場合、入院を選ばれた場合でもご自身で行うことになります
そのため、日帰りか入院かにかかわらず、術後の自己管理がとても大切です
当院では、術後も安心してお過ごしいただけるよう、24時間対応の緊急連絡先をお渡しします
気になる症状があった際はいつでもご相談いただけますので、ご安心ください


手術費用について

当院で行う手術はすべて保険適応です。
手術の費用は、術前診察に基づいて決定する術式により異なります
当院で行う各手術の点数・3割負担での費用は下記に記載します(検査料・薬剤料・診察料などは含まれません )
なお、医療保険にご加入の場合は、高額療養費制度の適用により、窓口負担が軽減されることがあります
詳しくは「高額療養費制度について」をご覧ください

手術名3割負担の方点数
内視鏡下鼻中隔手術Ⅰ型
(鼻中隔矯正術)
19,8606,620点
内視鏡下鼻中隔手術Ⅲ型
(前彎矯正術)
89,04029,680点
内視鏡下鼻腔手術Ⅰ型
(下鼻甲介手術) 片側
23,8207,940点
内視鏡下鼻腔手術Ⅰ型
(下鼻甲介手術) 両側
47,64015,880点
後鼻神経切断術
(経鼻腔的翼突管神経切除術) 片側
91,38030,460点
後鼻神経切断術
(経鼻腔的翼突管神経切除術) 両側
182,76060,920点
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅱ型
(副鼻腔単洞手術) 片側
36,00012,000点
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅱ型
(副鼻腔単洞手術) 両側
72,00024,000点
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅲ型
(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 片側
74,73024,910点
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅲ型
(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 両側
149,46049,820点
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅳ型
(汎副鼻腔手術) 片側
96,24032,080点
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅳ型
(汎副鼻腔手術) 両側
192,48064,160点

当院での手術をご希望の方

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